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ドレス着て

   ドレス着て犬がおめかしせぬ代りをんな着膨れ冬のさいたま     省三    

 東京都の南側の隣県から北側の隣県の街に転居して間もない私は、この冬、現住地の愛犬家たちが、元の居住地の愛犬家たちとは異なって、冬になっても、ご自分の愛するお犬様たちに防寒用の衣裳を着せる様子が無いことに気づいて少し驚いた。そのことの是非は別のこととしての話である。
 昼前とは違って、少なからず風が吹き出して来たある午後、見沼代用水東縁のサイクリングロードに到る遊歩道を散歩中に、連れ立っていた家内にそのことを話したところ、常日頃は他人の悪口や辛口批評を嫌悪している家内が、その宗旨に変化を来たしたのか、「それもそうだが、その代り人間が、特に女性の厚着が目立つようだね」と仰せになられたのには、これまた吃驚。
 なるほど、なるほど。今日の散歩の途中、私達は、少なくとも十人以上の愛犬連れの女性に出会ったが、そのいずれもが、分厚いコートかジャケット風の衣装に身を固めていたし、それとは逆に、彼女らに牽かれた(或は、彼女らを牽いた)お犬様たちは、例外無しに、生まれたままのヌードスタイルであった。
 同じ東京隣県ながら北と南の違いのある、元の居住県の街の人々が、愛犬たちに防寒用の衣装を着せ始めたのはいつの頃からだろうか。今では寒さ避けというのを通り越して、それぞれ鹿鳴館の舞踏会に着て行く華麗なドレスのような衣装を着せ、これ見よがしに裸木並木の冬の歩道を闊歩しているのである。

   ドレス着て犬が舗道を闊歩する街の何処(いずこ)に吹く不況風
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