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一首を切り裂く(050:災)

(チッピッピ)
    災が「今年の漢字」になった年なにがあったかもう忘れてる

 災難の「災」が「今年の漢字」に選ばれたのは2004(平成16)年のこと。
 この年は、「新潟県中越地震」、「台風23号上陸による各地の風水災害」、「美浜発電所の放射能漏れ事故」、「三菱自動工業のリコール隠し」など、年明けから歳末まで、災難、災難、災難。
 天災・人災を問わず、災難続きの年であった。
 「天災は忘れたころにやって来る」。
 いや、元へ、その反対。
 平成十六年と言えば、つい最近のこと。
 その余波が、未だに残っていて、震災復興に努力した村の村長さんが、その後、衆議院議員に当選して、何かと話題になったことなどは、どんな理由でか未だに記憶しているが、その他のことは、綺麗さっぱり忘れて、平気な顔をしている。
 人間と言う動物は、本当に始末におえない動物である。
 と言っても、それは<チッピッピ>さんのことではない。この私・鳥羽省三のことである。
 ところで、本作では、お題の「災」の字を<わざわい>と読ませているが、これを<さい>と読ませ、一首を、「災の字が『今年の漢字』になった年なにがあったかもう忘れてる」とする手もあるが、どちらがいいだろうか?
      〔答〕 翌年の「今年の漢字」は何だった? たしか「愛」だが「戦」かも知れぬ?  鳥羽省三 

 
(野州)
    一言も喋らぬ妻を唯一の災いとしてハネムーン終へる

 これには笑っちゃった。
 可笑しくって、おかしくって、笑っちゃった。
 <きのこの山>食って笑っちゃったよ。
 それにしても、このカップル、いざ鎌倉って時、どうしたのかしら。
 奥さんの方は、一言も喋らずにがばっと抱きついていったのかしら、ご主人に。
 ご主人の方は、それこそ<人災>だと諦めて、無言のまま抱きついて来る奥さんを、「いや、気にしない。気にしない。僕はあなたを、気にしてはいませんよ」などと言って、抱きとめてやったのかしら。
 笑っちゃうわ、わたし。
 でも、これが事実だとしたならば、それは、笑うに笑えない悲喜劇だね。
     〔答〕 「やしゅう」とは夜襲うこと。もの言わぬ妻に野州は夜襲かけたか?  鳥羽省三


(理阿弥)
    引き籠る平時の吾に贈らるる罹災時向けの手回しラジオ

 「引き籠る」ことを「平時」とする、覚り切ったような作者の言い分にも一理が無いわけではない。
 今の世の中、馬鹿と阿呆が幅を利かしていて、「いや、うそー。それって下げー」なんちゃってるから、こちとらのような教養人は、ひたすら、陋屋に引き籠ることを<平時の習い>としなければならないからだ。
 察するに、<理阿弥>などと言う、しかつめらしいハンドルネームに御身を窶されて居られるが、この作品の作者とて、私と同じ思いを抱かれて居られるのでありましょう。
 その「「引き籠る」ことを「平時の吾」とされて居られる<理阿弥>氏に、「罹災時向けの手回しラジオ」が贈られて来た。
 その贈り主は、理阿弥氏が、日夜、跪いて拝まれる阿弥陀如来様。
 察するに、贈り主の阿弥陀如来様の意図は、「我が信徒たる理阿弥陀仏よ、よく聴け。平時は戦時、万事が万死と心得、来るべき来世に備えよ。この手回しラジオ、死んでも手放すな」と言うことでありましょう。
 拠って理阿弥氏よ、その「罹災時向けの手回しラジオ」を、有効に活用されたし。
     〔答〕 引き籠る狂気の吾に贈られし茎割れ林檎はなかなか美味し  鳥羽省三


(磯野カヅオ)
    望まざるセックス臨む災難を避くる御守り持たされてをり

 磯野カヅオ氏は、インド滞在中のある夜、同行の某氏から無理矢理誘われて、ガンジス河畔の歓楽街に足を入れた?
 拠って、「望まざるセックス臨む災難を避くる御守り」とは、彼の護謨製品のこと。
 それを鞘にして、磯野カヅオ氏の曰く、「こうなったら、矢でも鉄砲でも持って来いってんだ。俺様は、彼の有名な、奈良時代の妖僧・道鏡の末裔なるぞ」とかなんとか。
 とは言え、その実弾の威力の程は、三丁目の駄菓子屋で買った水鉄砲ほどのこともなかった。
 「望まざるセックス臨む」の「臨」は、臨戦の「臨」。
 つまり、磯野氏にとっての「セックス」の場面とは、それが「望まざる」ものだっただけに、「臨戦状態」に等しい場面であったのだ。
 したがって、それは「災難」でもあった。
 「望まざる」のに「臨む」のも、日本男児なればこそか?
     〔答〕 望まざるものにも臨む我なればまっこと欲しきは彼の護謨製品  鳥羽省三


(冥亭)
    「何故のマスク姿ぞ」災いは口より出でて口に入るなり

 そのマスクは、出づるを制するマスクなりや? 
 入るを制するマスクなりや?
     〔答〕 入るも入る出づるも出づるいと怖し我のマスクは諸刃のやいば  鳥羽省三


(のびのび)
    黙ってりゃ隠せる難もあろうものを女の口は災いのもと

 やや韻律がよくないから、これを、「黙ってりゃ隠せる難もあろうもの女の口は災いのもと」、或いは「黙ってりゃ隠せることも有ろうのに女の口は災いのもと」と改められたら、如何でしょうか?
 仰られることに対しては、一言もございません。
     〔答〕 黙ってりゃ憎まれることも無かろうに私の口も災いの元  鳥羽省三


(暮夜 宴)
    災いを転じて福田くんとした紫陽花よりも淡い想い出

 作者の<暮夜宴>氏は、<中三角大福>時代の自民党の陣笠代議士であったのか?
 「災いを転じて福田くん」とは、<暮夜、暮夜>に亙る宴会攻めに苦しんだ後、自民党本部での総裁選挙に於いて、暮夜宴氏ご自身が、投票用紙に、中曽根とも三木とも田中角栄とも大平とも書かずに、「福田」と書いたということか?
 陣笠生活から足を洗った今となっては、そうしたことが、「薫(くん)として香る紫陽花よりも芳しく、かつ淡い想い出」として、氏の記憶の中に残っているのであろう。
 大胆に省略しての、スピード感あふれる表現が素晴らしい。
     〔答〕 災いを覚悟の上で角栄と書いた私が貰った賄賂  鳥羽省三


(ほたる)
    災いと認識していた錆色の過去が磨かれ真鍮になる

 作者のお宅には、先祖伝来と称せられる、錆色をした茶釜が在ったのでしょう。
 そして、作者以外の家族の人たちは、「ありがたや、ありがたや、この錆色茶釜。この茶釜で沸かした湯で立てた抹茶を喫めば、幸せが一度ならず二度訪れる。娘二人が二度ずつ、合計四度の婚礼。」とか何とか仰って、崇拝一筋であられたのでございましょう。
 でも、そこはほたるさん。
 ご幼少の砌から短歌など詠まれ、この「題詠2009」にご投稿された御作が、再三再四に亙って、あのうるさ型の鳥羽省三の観賞眼に叶うほどの教養の所有者。
 「禍々しき、この錆色の茶釜。この茶釜で沸かした湯で立てた渋茶を飲んだが故に、姉二人はそれぞれバツイチ。」とかなんとか仰って、お勤め詠歌の合い間合い間に、一所懸命に磨かれた効果覿面、錆色の茶釜が、たちまち煌々として照る、真鍮の茶釜として復活されたのでありましょう。
 こうした、持って回った解釈とは別に、この一首の、「災いと認識していた錆色の」までを、<有心の序>として捉え、それ以降に、作者の本意を託した、という見方もある。
 しかし、いくら磨いたとて、所詮、真鍮は合金。
 もっと磨いて本物の金になりなさいほたるさん。
     〔答〕 白玉も磨かざりせば只の石みがいて磨いて輝けほたる  鳥羽省三  


(佐藤羽美)
    朝曇りざわめきながら蔓草が這い出してくる火災報知機

 これは俳句だ。
 十七音を三十一音に延ばした俳句だ。
 私・鳥羽の見立てに依ると、彗星集に集う若手歌人の方々の中には、俳句作者としての才能に秀でられた方が数人居られる。
     〔答〕 報知機につる草伸びる朝曇り  鳥羽省三
         つる草のざわめきつつも朝曇り  同
         ざわめきや火災報知機乗っ取られ 同
 

(志井一)
    「震災」は今も変わらず略語です 阪神・淡路大震災の

 「関東大震災」のことは、関東の人も「関東大震災」と言って、「震災」と言う略語では言わない。
 関西の人は、「阪神・淡路大震災」のことを、今でも、「震災」という略語で言うのでしょうか。
     〔答〕 辛酸を舐めにし関東大震災 生きて知ってる人は稀なり  鳥羽省三


(bubbles-goto)
    次々とパンフレットは広げられカラフルに咲く災害保険

 「カラフルに咲く災害保険」とは、よく詠んだものです。
 カラー印刷技術を駆使した、昨今の災害保険のパンフレットの有様を表わすと同時に、地震・雷・火事・親父・自動車事故・航空機事故・入院保険・手術保険・スポーツ保険と、現代社会の災害保険の多種多様さをも表わしている。
     〔答〕 次々と欠陥事項を並べ立て保険会社は金を払わぬ  鳥羽省三


(近藤かすみ)
    災ひに備へて購ひしカンパンの缶の男はバグパイプ吹く

 その乾パンはスイス製でしょうか?
 マッチだとか、石鹸だとか、ミネラルウォーターだとか、乾パンだとか、自然災害に備えて、買い溜めして置く品物は、輸入商品が多く、しかも、そのどれもが、簡易でデザインに優れた包装が成されております。
 生活にゆとりのある方々は、実際には使わないもの、と言うよりも、使いたくないものにも、そうした美的センスに優れた商品を買うのでしょうか?
     〔答〕 災害に備えて買った乾パンは賞味期限切れ前に食べてしまおう  鳥羽省三


(鯨井五香)
    冷える手でくるみの殻を割りながら祈りぬ(きみの災いよ去れ)

 「薫ちゃんの、痛いとこ、痛いとこ、痛いとこ、憎たらしい鳥羽省三に飛んで行け」ってうおまじないですか?
 「冷える手でくるみの殻を割りながら」が、よく効いています。
 まるで、聖家族みたい。
     〔答〕 震え声で「鳩山退陣」と叫びながらジュニアー握る小泉ジュニアー  鳥羽省三


(久野はすみ)
    災難というほどじゃない真夏日にあざみ野行きのバスに揺られる

 この一首の前に、「舌先は口内炎にふれながらあざみ野行きのバスに揺られる」という一首をご投稿され、掲出のは、その訂正版である。
 初版の方が、具体性があって優れているようにも思われますが、作者の久野さんは、そこの辺りのことを如何様にお考えになられたのでしょうか。
 その点はともかくとして、そう、今年の夏は冷夏というほどでも無いが、寒からず、熱からず、「災難というほどじゃない」夏でありました。
     〔答〕 昨日は私も乗った「あざみ野行き」バスはカリタス前を通って  鳥羽省三
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二度ずつ合計四度!

私には妹がおりますが、まだ二人とも一度ずつでございます^^;
二度、三度とならぬよう、合金で終わらぬよう、精進いたします!
ありがとうございました。

あの頃は

拙作取り上げて頂き、有難うございます。
あの当時、わが関西地方は新型インフルエンザの
流行源と見なされ、関東方面から歌会などへ来られた方々も
それこそ「汚染地」へ赴く不安で一杯だったとか。
(もっとも実際来てみれば、地元民はほとんどマスクなんぞしていなかった)

非常に単純に「ウィルスと言の葉=刃」のイヤミみたいなもんでした。
ちなみに、現在のマスク率も少し上がった程度で、結構平気なもんだ…★

こんばんは

感想をありがとうございます。
「炎」のつもりで作り、よしよしと思っていたら
あとで「災」だということに気付きまして
おっちょこちょいが招いた災難でした。
作者としても口内炎のほうが気に入ってます。

ありがとうございます。その1

こんばんは。磯野カヅオです。

なるほどこの歌もインド詠だと考えると読み解き易く、インド往きの際に御守りを持たされたのは事実なのですが、この歌はインド詠ではないのです。すみませんです(←なんであやまっているんだろう)。

この歌は"望まざる××××(臨む)"というのが別の事の比喩になっているというか、"望んでいないほにゃららに対峙すること全般"を表しています(←こんなこと作者以外分かるわけないんだけど)。"望んでいないほにゃららに対峙すること"というのは、きっと沢山の人が経験していて、そういった災難を避けるための御守り(あるいはそれに準ずるもの)もまた、沢山の人が持っているのではないかなあ、という具合です。


さだまさしがお好きなのですか?


それでは、失礼いたします。

No title

歌を取り上げていただきありがとうございました。
「今年の漢字」だから“さい”と読ませた方が
よかったかもしれないですね。
そう言えば今年2009年の漢字は「新」でした。
たしかに新政権にはなったものの
人々の苦しい生活は何も変わっていないような…

ありがとうございます

コメントいただいたのに気付くのが遅れて申し訳ありません。
選歌いただきありがとうございます!
正直、くるみって、手で割れないような気がするのですが。。

おばあちゃんのくるみもちが美味しかったという思い出があります。
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