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一首を切り裂く(049:ソムリエ)

(松木秀)
    ソムリエの仕事なんです無理矢理にワインをすすめぬということも

 数年前のことですが、「今日のスイカは買ってはいけません。今日のスイカは甘みが乗っていないのにも関わらず、市場への入荷が極端に少なかったから、こんなに高値になってしまったんです。あなたがどうしても、スイカを食べなければならない人でしたら、私は、罪の意識を覚えながらも、このスイカをあなたに売りますが、そうでなかったら、今日はスイカを買わないで下さい」という八百屋さんに出会って感動したが、どの業界にも、そんな奇特な方がいるものですね。
     〔答〕 私は松木さんのを選ぶほど偉い選者じゃありませんのに  鳥羽省三


(新井蜜)
    選ばれた者たちの朝 兄さんはソムリエだった蜂起の前は

 何処か、東欧辺りの辺境に住む少数民族が、醸造税の撤廃を要求して蜂起したのでしょうか。
 その朝、その部族独特の刀剣を白ワインを吹きかけて清め、選ばれた者たちは出て行った。
 敗北必死の戦場へと。
     〔答〕 弟の僕もソムリエ志望です。未だお酒は飲めませんけど。  鳥羽省三


(ひいらぎ)
    溜め息の色とか意味をさりげなく当てるソムリエみたいにそっと

 「ソムリエみたいにそっと」が宜しい。
 彼等は、本当に、いやらしいほどに<そっと>、「お嬢さん、あなたにはロゼがお似合い。今日は、あなたのお誕生日を祝うに相応しいロゼが入っていますよ。おフランスから」などと、ひいらぎさんの頬に息を吹きかけるようにして言う。
 今さら、お誕生日を祝福されるお年でもないのに、純情なひいらぎさんは、その言葉にころりと騙され、お財布の中身も○○も捧げてしまう。
 お元気ですか、ひいらぎさん。
 「題詠2009」企画も終幕近くになってから、私もまた復活し、詠歌仕分けに再参入させて頂きました。
 「必殺仕分け人復活」ですよ。
     〔答〕 溜め息に意味はあっても色はない色があったら歯周病です  鳥羽省三


(理阿弥)
    五年目の町道場で新参のソムリエ志望に叩きのめされ

  極真ですか? 少林寺ですか?
 「叩きのめされ」という言い方から推すと、もしかしたら、ボクシングかも知れません。
 いずれにしても、負けも負けたり、「ソムリエ志望」如きに。
 五年のブランクは、ちょっとやそっとで、なかなか埋められませんからね。
 精進潔斎、今夜からビールもワインも断って、練習に励んで下さい。 
     〔答〕 酒を断ち煙草を断っての修業を実らせ晴れの勝利者となれ  鳥羽省三
         ソムリエになると言ってた若者はあれきり顔を見せないようだ   同


(髭彦)
    赤玉とワイン同義のこの国で誰ぞ知りけむソムリエなるを

 私は「赤玉」の、「ポートワイン」と称していた頃からのファンでした。
 味はどうでも、あのヌード女性のポスターが魅力的だったからね。
 でも、輸入ワインが手に入るようになってからは、すっかりご無沙汰でした。
 その頃には、あの悩ましいポスターを貼っている店も無くなっていたということもありまして。
 ところが、この間、お酒の廉売店で、久しぶりに彼と出会いました。
 てせも、彼の名称は「赤玉スイートワイン」に変わっておりました。
 どんな事情があったんでしょうか?
     〔答〕 スイートとポートは同義じゃありません。味に合わせて名を変えたのか?  鳥羽省三 


(かりやす)
    赤も白もよく分らずにソムリエの美(は)しき指先ばかり見てをり

 そのソムリエは女性ソムリエ、つまりソムリエールだったんですね。
 この頃は、ソムリエールが大活躍するようになりました。
 あんな高いものを飲むのに、むくつけき男(おのこ)のサービスでは、誰も行かなくなりますからね。
 ワインバーには。
 頭のいい経営者たちは、そこのところを見越したんでしょう。
 ソムリエールを重用しているのは。
 だから、今度出掛けたら、「美しき指先」と言わず、そのソムリエールの赤い処も白い処も、全部見ていらっしゃい。
 それも値段のうちですから。
     〔答〕 赤・白はボトルを見れば直ぐ判る。判らないのは値段と味だ。  鳥羽省三


(一夜)
    鮮やかな開栓パフォーマンス終え ソムリエの頬ロゼに染まりぬ

 原価五百円のワインを一万円で飲ませるためにやるのが、大袈裟な開栓パフォーマンス。
 そのやり口は何から何まで芝居けたっぷり。
 俗臭ぷんぷん。
     〔答〕 ソムリエは芸が八分で酒が二分 開栓したのは白じゃなかった?  鳥羽省三


(新田瑛)
    隠された記憶をたどる ソムリエがワインを口に含むがごとく

 ここは、ワイン輸入業者主催のワインの試飲会場。
 輸入業者側のソムリエに依る開栓が済むや否や、日頃はお客に高く飲ませる役の酒場側のソムリエは、今日は売り物にするワインをできるだけ安く仕入れようとして、渋い顔して、ワインを口に含む。
 そして、「うーん、いけませんね。味が未だ若い」とか何とか。
 推理小説の登場人物が、探偵に問われ「記憶をたどる」時の様子は、彼らそっくり。
     〔答〕 <いけない>はあんたの口で味は好し ボルドー産の10年ものだ  鳥羽省三


(原田 町)
    ソムリエの講釈をうけ飲むワイン下戸のわれにはただ酸っぱくて

 そう、無理して飲んではいけません。
 ワイン下戸にとってのフランスワインは、ただ酸っぱいだけの代物。
 なのに、ソムリエ殿は講釈を長々とやらかす。
     〔答〕 年代は2001年ボルドー産百年一度の当たり年です  鳥羽省三
 


(nnote)
    溺れないように階段昇りゆくソムリエールに銀の蹼

 ワインを売るのが商売のソムリエールも、あれでなかなか飲んでしまうんですね。
 銀底のサンダルを履いたソムリエールが、ワインに溺れたような、溺れないような仕草で、自室の在る階段を昇って行く。
 その昔、「女が階段上る時」という映画があったことを思い出しました。
 山本富士子と京町子の競演でした。
 女が階段上る時は、ここ一番の勝負の時。
 銀の足裏を見せて、自室への階段をよろよろ上って行くソムリエールの前には、どんな勝負の時が待ち構えているのか。
     〔答〕 よろよろと階段上るソムリエールの銀のあしうら謎の足裏  鳥羽省三
と、ここまで書いて〔公開〕したところ、<原田町>さんから、早速、メールを頂いた。
 そのメールに曰く、「鳥羽様/選歌いただきありがとうございます。赤玉でじゅうぶんな私には『ソムリエ』のお題は難しいものでした。それから(nnote)さんのご批評のなかで『女が階段を上がる時』は高峰秀子で山本富士子と京マチ子(町子でなく)の競演はたしか『夜の蝶』でなかったでしょうか。/古き映画ファンとして一言。」と。
 
 原田町さん、ありがとう御座います。映画「女が階段を上がる時」及びその出演者の件は、全くご指摘の通りでありまして、おぼろげな記憶を頼りに、碌々調べもしないで、上記のようなことを書いてしまったのは、耄碌と怠慢に因する、私の失敗でした。これからも、どうぞ宜しくお願い致します。
 原田町子さんからのご教授を感謝申し上げる意味で、「京マチ子」を「京町子」としたミスも含め、そのまま訂正しないで、永久に恥を曝して置きます。



(ゆき)
    唇はソムリエナイフボルドーの罪のコルクをゆらゆらと抜く

 「昨年の、欧州旅行の最終日、あなたは、南仏ボルドーで、あのソムリエと、何しましたか?」。
 明智探偵は、その唇を、ソムリエナイフを回すように、くねくねと曲げながら、彼女の罪状を、ゆらゆらと抜く。
     〔答〕 唇はジャックナイフだ日米の密約疑惑を次々明かす  鳥羽省三


(龍庵)
    味覚へとたどり着けないソムリエの言葉と僕の短歌は同じ
 
 産地や生産年の説明ばかりのソムリエの言葉は、ワインの味とはなかなか結びつかない。
 その点は、「僕の短歌と同じ」だと作者は仰るが、それは謙遜。
 龍庵氏の作品は、含蓄に富み、短歌観賞の醍醐味を味あわせてくれる。
     〔答〕 解決に辿り着けない宰相の国会答弁結局難局  鳥羽省三 


(ほたる)
    封印をされた秘密の銀紙をソムリエナイフで丁寧に剥ぐ

 「ソムリエナイフで丁寧に」剥がれているのは、ワインボトルの封印ではない。
 「ソムリエナイフで丁寧に」剥がれているのは、「秘密の銀紙」。
 「ソムリエナイフで丁寧に」剥がれているのは、ほーほーほたるの「秘密の銀紙」。
 ほーほーほたるは、あの夏の日の校内映画会の銀幕の裏側で、何をしてたのか?
     〔答〕 こっち側の水はワインの味に似て甘いぞほーほーほたる来い来い  鳥羽省三


(花夢)
    大袈裟なままごとみたいソムリエに似た葬儀屋が凜と佇む

 <おくりびと>は、ソムリエに似たお仕着せを「凛と」着こなして、亡骸の前に佇む。
 その大袈裟な様子を、「ままごとみたい」と花夢さんは言う。
 「凜と佇む」が宜しい。
 花夢さんは、いつも夢見るような顔をしているが、さすが歌人、見るべきところはよく見ている。
     〔答〕 大袈裟なままごとみたい蓮ほうさん大口叩き事業仕分けだ  鳥羽省三
  

(田中彼方)
    「干からびた胎児」の匂いなどと言い、エリック・サティが好きなソムリエ。

 作中の「エリック・サティ」とは、二十世紀初頭に活躍した、フランスの作曲家、<エリック・アルフレッド・レスリ・サティ(1866・5・17~1925・7・1)>のこと。
 彼は奇矯な言行で知られていて、「音楽界の異端児」「音楽界の変わり者」などとも称されるが、西洋音楽の伝統に大きな扉を開いた革新者とみなされている。ドビュッシーやラヴェルの音楽活動にも、大きな影響を与えた。
 それにしても、「干からびた胎児の匂い」とは、どんな匂いなんでしょうかね。
 そんな匂いのワインを飲んでみたい。
 お客様に向かってそんなことを言う、そのソムリエも亦、変わり者。
 変わり者は変わり者を好く。類は友を呼ぶ。
     〔答〕 「干からびた胎児の匂い」嗅ぎたけりゃ青木が原に行って嗅ぎなよ  鳥羽省三
 

(お気楽堂)
    舌を噛みそうな名前もよどみなくグラスを満たしソムリエが去る

 口も八丁、手も八丁の、そのソムリエの客捌きを思わせるような、上出来の作品です。
 句割れ、句跨りの用法を用いながら、「よどみなく」すらすらと読ませる、一首の流麗さは、この作品の何よりの魅力です。
     〔答〕 舌を焼きそうな辛味のワインなど如何ですかとソムリエは言う  鳥羽省三


(桑原憂太郎)
    志望校と内申点を提示して保護者の前でソムリエとなり

 私のかつての職業は、本作の作者と同じ。
 私もやりましたよ。かつては。
 なつかしいなー、この場面。
     〔答〕 「志望校と内申点を提示して保護者の前で」だんまり決める  鳥羽省三
 但し、「だんまり」を「決める」のは、担任の私では無くて、受験者本人。
 私ですか。
 私は、決めようとしても決まらない、受験校の選定に四苦八苦でした。
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No title

当方、武道にはまったくもって縁遠く、
「道」とつくのは、書道教室に通っていたくらいで・・・。
さらに言えば、酒もタバコもまったく嗜みませんで、
つまりはイケメンソムリエには、最初から太刀打ちできませんのです。
不甲斐なし。

こんばんは

復活、おめでとうございます。
「おめでとう」で良いのかどうか不安ですが。
今回も、ばっさり切り裂いて頂いてありがとうございます。
こんなストーリーが展開されるとは思いませんでした(笑)
誕生日を祝福されて喜んでいたころが懐かしいですね~。

これからも楽しみにしています。

都々逸も、

リズム変わって、逆に新鮮。
良いのかも。

またまたありがとうございます

毎回、ご丁寧にブログのほうにコメントまで残してくださって、ありがとうございます。
蓮舫議員を超える詠歌必殺仕分け人の目に留まって嬉しいです。ありがとうございました。

ありがとうございます

木に登って下りたくなくなるようなうれしいお言葉。
夜中に一人にまにましています。

>詠歌必殺仕分け人

花夢さん、上手いこと言う!
100までの間に鳥羽さんからいくつコメント頂戴できるか、たのしみになりました。(と言った途端にストップするもんです……^^;)

詠歌必殺仕分け人 !

本当に花夢さんはうまい事をおっしゃる!!
お気楽堂さん同様、私も楽しみにしていますが、
そのうちコメントいただけなくなって涙するようになりそうです・・・^^;

はじめまして

鳥羽さま
このたびは、拙歌を切り裂いていただき、ありがとうございます。
下戸の私にはソムリエのお題は難しかったのですが、
思いもよらぬ、物語の展開をしていただき、おもしろうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

ありがとうございます

桑原憂太郎です。
このたびは、拙い歌を評していただきましてありがとうございました。鳥羽様は同業者であったとのこと。恐らくは大先輩からみて、私の教育詠は、どうにも軽薄であろうかとも思いますが、こうしてアンサーソングまでいただけるとは嬉しい限りです。これからもよろしくお願いいたします。

詠歌必殺仕分け人

はからずしも、お気楽堂さん、ほたるさんに褒められてしまいましたが、「詠歌必殺仕分け人」は鳥羽さまがこの記事上で名乗られていますので、うまいこと言っているのは鳥羽さんです~~(^ー^

あうっ

つまみ読みが馬脚をあらわしてしまった!
チャララ~とBGMが鳴ってばっさり切られそう^^;
鳥羽さん、どうも失礼いたしました。

ソムリエ

鳥羽様
選歌いただきありがとうございます。赤玉でじゅうぶんな私には「ソムリエ」のお題は難しいものでした。それから(nnote)さんのご批評のなかで「女が階段を上がる時」は高峰秀子で山本富士子と京マチ子(町子でなく)の競演はたしか「夜の蝶」でなかったでしょうか。
古き映画ファンとして一言。

ソムリエ

取り上げていただいてありがとうございます。
プロフィール

鳥羽省三

Author:鳥羽省三
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