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一首を切り裂く(048:逢)

(久哲)
    虹になるつもりの虹に逢う場所の交差点から閉じる冬枯れ

 「虹になるつもりの虹」とは、何かの都合で脚の部分が消滅している虹のことか?
 おそらくは、空中と地上との気温差が、そうした現象を引き起こすのでしょう。
 その「なるつもり虹」に、昨日、私は出会った。
 <つもり>が<つもり>でなく成就していれば、その虹の脚は、右のは桐蔭学園の女子校舎の屋上あたり、左のは琴平神社の社務所のあたりに根を生やしていたはず。
 その根元を掘れば、大判小判が、ザック、ザックと出て来るはずなのだが、何の因果か、両脚をもがれた状態で、寓居から見て南西の空に薄っすらと架かっていたのだ。
 運の悪い虹。残念な虹。
 久哲さんの御宅のあたりでは、そうした虹に出逢える場所が、どうやら決まっているらしい。
 もし、そうならば、その脚と目されるあたりをブルトーザーで掘ってみたら?
     〔答〕 夕空に脚無き虹の出でにけり足無きままに逃げ去りにけり 鳥羽省三
 

(蓮野 唯)
    逢っている時にはやめて警官の顔をしないで目つきが恐い

 不倫相手はどうやら警官。
 いや警官のような服装をした路上の旗振りだったらしい。
 その旗振りは、偽警官だけに、作中の<わたし>と逢っている時は、警官面して、「奥さん、姦通罪という罪名の犯罪はもうなくなりましたが、私と奥さんのやっていることは立派な犯罪。貫通罪という名の」などと抜かして面白がっている。
 「こんな場面で、そんなたちの悪い冗談は止めて。それに、犯罪者めいたあなたの目つきが恐い」と私。
     〔答〕 本物の警察官がそれらしい顔をしてたら犯罪頻発  鳥羽省三


(理阿弥)
    夕影に行き逢った子の差し伸べた手にブランコの錆の冷たさ

 ひと頃は、危険だの、不潔だのと言って、児童公園からブランコがどんどん撤去されて行ったが、最近は、どうやら、そうした風潮にストップがかかったらしい。
 寓居の前のブランコも、つい先日、最新型のに更新されたばかり。
 本作中の「子」は、どうやら、午後五時過ぎまでブランコを漕いでいたらしい。
 その証拠に、「差し伸べた手にブランコの錆の冷たさ」が移っていた。
 「ブランコの錆の冷たさ」が、作者の気持ちの温かさを表わしている。
     〔答〕 <夕暮れ>とお迎えに来たパパの手がとても温(ぬく)くて嬉しかったよ  鳥羽省三


(五十嵐きよみ)
    旧仮名のほうがなじむと思うからそこだけ「めぐり逢ひ」と書きたい

 句跨り、句割れを巧みに利用した佳作。
 それに、最近流行の、<口語と文語のごちゃ混ぜ短歌>を皮肉ってもいる。
     〔答〕 新仮名のはうが馴染むと思ふからそこだけ「こむらがえり」と書きぬ  鳥羽省三


(ほたる)
    「逢いたい」と文字にしてみるそれだけで後ろめたさが募るたそがれ

 「デイト」も「逢合」と言えば、こそこそ隠れての不倫めいてくるから不思議。
 家計簿の余白に、つい「逢いたい」と書いてしまう<ほたる>さん。
 書くだけで「後ろめたさ」を募らせているのだから、彼女は永久に不倫と無縁。
 故に、ほーほー家族は永遠に安泰です。
     〔答〕 相対で逢いたい気持ちが嵩じての火着けお七はたちまちお縄  鳥羽省三
         「たそがれ」をつけてなんとか歌にするお逃げなさんなほーほーほたる  同
 「日本文学の特質の一つとして、末尾に<時刻とか天候とかを表わす言葉をつけて抒情化して逃げる>という、ずるい手があります」と述べたのは、ノーベル文学賞候補に挙げられた某氏。
 期待の星のほたるさん、そこのところをよく考えて下さい。
     〔答〕 逢いたいと思えば募る逢いたさに「逢いたい」と打つケイタイめーる  鳥羽省三


(都)
    逢うことの「意味」や「頻度」や「必要」がふわりとびゆく塩からい風に

 作中の<わたし>は海が好き。
 房総の駅に降り立ち、ほんわりと匂い来る潮辛い風に当たった瞬間、愛も恋も逢うも忘れてしまった。
     〔答〕 逢うことに意味が無いなら必要も無くなり頻度も減ってしまうぞ  鳥羽省三


(龍庵)
    逢うという漢字はいつも艶めいて君を抱きたい時だけ使う

 同じ「あう」でも、「逢う・遇う・合う・会う・遭う」と、その意味や用法は様々。
 その中でも、とりわけ「艶めいて」いるのが「逢う」。
 だから、本作の作者・龍庵氏は、「逢う」を「君を抱きたい時だけ使う」のだそうな。
 因みに説明すると、本作での「君」とは、 龍庵氏の長女の龍子ちゃん。御年、満三歳。
     〔答〕 遭ふと言へば取り分け通夜めき斎段の写真の君と今宵出遭ひぬ  鳥羽省三
 

(tafots)
    メールだから「逢おう」なんでしょ本当は書き順だって分からないでしょ

 パソコンや携帯電話が国民に遍く普及した現在、その画面での漢字の使用が頗る容易になった。
 したがって、書面でならば使えないような漢字を、現代の若者は平気で使う。
 但し、それは携帯電話の狭い画面でだけのこと。
     〔答〕 本当は書き順だって知らないが躁鬱などと平気で打てる  鳥羽省三


(花夢)
    逢うたびに痩せこけてゆく老人は過去をいよいよ浄化してゆく

 死への旅路とは、苦難に満ちた過去を浄化して行く路程でもある。
 故に、死を前にした者にとっての死出の旅路は、日々清らかさが増して行く、天国・極楽への旅程に他ならない。
 詠まれている内容は、必ずしも明るいものでは無いが、そこをそうあらしめなかったのは、作者の腕と心。
     〔答〕 詠むたびに上手くなってく花夢さん そのうち<夢>が<嫁>になっちゃう  鳥羽省三


(sora)
    竹林の日照雨(さばえ)の中に立ちてみるふと逢えさうな気がする午後は

 「日照雨」は、通常は<そばえ>と読み、「日が照っているのに降る雨」のこと。
 「狐の嫁入り」などと言って、俳句の季語にもなっている。
 本作の作者<sora>氏のお住まいの辺りでは、これを<さばえ>と読むのでしょうか?
 「日照雨」降る「竹林」の「午後」の、明るさ、温かさ、柔らかさ、優しさが、「ふと逢えそうな気がする」と、作者に思わせるのであろう。
  〔答〕 
     空からは狐の嫁入り
     地上には筍の萌える
     春の日の午後

     私は傘も差さずに
     村の街道を行く
     君に逢うために
     傘も差さずに歩いて行く

     一張羅の結城紬の
     尻を絡げながら
     私は
     君に逢いに行く


(佐藤羽美)
    逢いたい逢いたい逢いたい春の陽が美波絹子のほくろを撫でる

 「美波絹子」は、京極夏彦氏の小説・『魍魎の匣』の登場人物の名前、職業は確か女優とか?
 彼女の顔面に「ほくろ」が在ったか、どうかまでは、さすがの物知りの私の連れ合い殿もご存じ上げなかった。
 冒頭の「逢いたい逢いたい逢いたい」は、指折り数えて、ピタリ十二音、これで、短歌の一、二句を成している。
 こういう離れ技は、鳥羽とてなかなか出来ません。
さすが、「未来」の未来を担う佐藤羽美さん。
 彗星集の一番星。
     〔答〕 トキという羽美しき鳥の居り学名はニッポ・ニア・ニッポンだとか  鳥羽省三


(bubbles-goto)
    からまってばかりでうまくいかないなまつり縫いとかめぐり逢いとか

 「纏り縫い」とは、「布の端などがほつれないように、二つか三つに折って手前の布と向こうの布を交互にすくって縫う縫い方」のことだ、とは、わが連れ合いの弁。
 とりあえず「ありがとう」と言っておいて、手元の辞書『新明解・国語辞典』を開いてみたら、そっくりそのままの説明がなされていた。
 たったこれだけのことで、「ありがとう」などと言ってしまったのは、男としての面子が廃ると嘆いてはみたが、そ
れも今となっては「後の祭り」。
 かくして、「まつり縫い」は「めぐり逢い」同様に、「からまってばかりでうまくいかないな」。
 「逢う」から「縫う」を導き出して一首を成した機転はなかなかのもの。
     〔答〕 間違ってばかりでなかなか書けないな<bubbles-goto>とう名前の綴り  鳥羽省三



(遥遥)
    名にし負う逢坂山のさねカツラ人に知られてずれにけるかも

 小倉百人一首所収の名歌、「名にし負はば逢坂山のさねかづら人に知られで来るよしもがな」(三条右大臣・藤原定方)の本歌取りとして解釈した。
 「人に知られ」たと分かった瞬間、作者の<遥遥>氏は少しよろめいた。
 その途端に、カツラが「ずれにけるかも」。
 「安物買いの銭失い」。
 カツラは一生もんだから、ケチケチしないで高価なものを買いなさい。
 メーカーは、「アデランス」とも「ハゲダンス」とも指定しないが。
     〔答〕 名にし負う大坂城の真田丸攻防戦の指揮者幸村  鳥羽省三 


(お気楽堂)
    逢ひみての後の心も時経ればもの思はざるむかしの如し

 本作も亦、本歌取りの歌。
 元歌は、同じく「小倉百人一首」の、「逢ひみての後の心にくらぶれば昔はものを思はざりけり」(権中納言敦忠)。
 <お気楽堂>さん、お気楽なことに、「逢ひみて」一目ぼれした彼女だったのに、心変わりをしてしまったんですね。
 それにしても、「時経ればもの思はざるむかしの如し」とは、言いも言ったり、捨ても捨てたり。
 彼女を捨てた序でに、<お気楽堂>などというお気楽なお名前も捨てて、<元の木阿弥>とでも改名したらどうですか?
     〔答〕 逢ひみての後の心よ何処へ行く今では一緒に居ても起たない  鳥羽省三
   

(ノサカレイ)
    つかの間の逢瀬のためにズッキーニ育てし2009年の夏

 恥かし乍ら告白します。
 私が本作を選定した理由は、「ズッキーニには精力増強の効果が在り、作者の<ノサカレイ>さんは、それを期待して、『つかの間の逢瀬のためにズッキーニ』を育てた」のだと誤解していたからでした。
 でも、物識りの家内の説明に依ると、「ズッキーニはカロリーが低くダイエットに最適な野菜で、その他、美肌効果も期待出来る」とのこと。
 因って、私の目論見は完全に消滅してしまいました。悪しからず。
     〔答〕 2009年のこの夏、わたくしはズッキーニの効果を誤解していた  鳥羽省三  


(今泉洋子)
    出会ひしは青春最中きみに逢ふ前は両手をひろげてゐたり

 今泉洋子さんのお住まいの辺りには、「青春最中」という名称の名物スイーツが在ったのでしょうか?
 今泉さんは、そのスイーツを「きみ」と呼び、その「きみ」に出遭う前から「両手をひろげてゐた」のでしょうか?
 あまりにもあからさまな恋歌なので、つい、悪戯をしてしまいました。(失礼) 
     〔答〕 好きなのは虎屋の最中 長崎の福砂屋カステラ甘くて食えぬ  鳥羽省三
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ただいま参上いたしました。

  鳥羽省三さま

またまたデートのお誘いありがとうございます。100首blogも終わり、省三さまとは来年まで七夕さまかなと思っていたので、大変うれしゅうございます。

難しいお題でしたので、思い切って、寺山修司と永田和宏をぱくりました。「青春最中」は美味しそうなお菓子ですね。意表をつかれました。さすがですね。青春後期としようかとおもったんですが、自信のない作品ばかりを採りあげていただきありがとうございます。
「青春もなか」いいネームングですね。お菓子屋さんにおしらせします。ご当地は、小城羊羹が有名で寅屋の羊羹よりも同じ値段だと美味しいと自信をもっています。ところが私は
・わが町の公孫樹並木は葉を落とし熱燗旨き季となりにけり
・秋鯖の活きのいいので締鯖を作りし夜は熱燗にする
          で辛党です。
省三さまは、辛党でしょうか。
・甘き菓子スイーツとよぶ今の世にわれは甘き歌作りゐる

省三さまは、学識が深く短歌も精通されているので、また色々ご指導お願い申し上げます。弟子入りさせていただきたいくらいです。
さだまさし「檸檬」大好きです。朝日歌壇のほうも今から拝見させていただきます。いつもお誘いありがとうございます。
愉しい悪戯に感謝申しあげます。


ありがとうございます。

このところ、鳥羽さんから溢れるように発表される文章に、目を見張っております。ありがとうございました。

迸る源泉のような鳥羽さんの文章ですが、題詠もまた長い道のりで、海まで続いているようなものです。

花夢から花嫁へと順調に向かうように見えたこの鑑賞の行く末は、
もしかしたら、自らが生み出した下記の作へと流れ込んでいくのではないかと思い始めました・・・・まるでこうなることを予見したように・・・・・。

051:言い訳(花夢)
そのうちに月へ帰るからっていう言い訳をして嫁に行かない

No title

鳥羽様

拙作を採りあげていただいて、ありがとうございます。
幼年期の寂しさを凝縮した風景、といいましょうか。
この一首は、下手なりにそこそこ詠めたかな、と思います。
公園のブランコや、ジャングルジムは、
手に痛いほどの冷たさだったなー・・・

逢引でハンバーグ

省三様。
巻頭鑑賞ありがとうございます。

【さだまさしについて】
・幼少のみぎり、関白宣言をカムバック宣言と思っていた。
・森山直太郎の桜(独唱)が僕の持ち歌ですが
 「さだまさしが歌う 桜(独唱)みたいねー」
と言われた。
・「でも味噌汁付かない~♪」
・これぐらいしか、持ちネタがありません。

【朝日歌壇について】
・ここのおかげで、短歌と俳句の区別がつく嫌なガキだった。
・詠みはしなかったが「つまんねー」と言うさらに嫌なガキだった。
・今なら楽しめるが、新聞を購読していない。
・だが省三様の解説で今、二度おいしい。

【拙歌について】
・自分ではわかりやすいぐらい平易な相聞だと思っている。
・「彩雲」は二度見たが、僕の頭上ではない。
・人のブログで読むと、なんだか良い歌かもしれないと思う。

【結論】
・さだまさしは無茶振りであろう。関西人だがキツイ。

【返歌】
酷使したあなたの腰に虹色のスライスチーズを貼ることにした 久哲

またまた~

返歌の内容とは裏腹に、選歌選評はものすごく精力的っ!

ありがとうございます。
心変わりの意味ではなかったんですが、そういう読みもありか、と思いました。
(ので、元の木阿弥はちょっと……勘弁して^^;)

鳥羽さんのエネルギーに引き寄せられるように、皆さんのコメントがまた面白いですね。まだつまみ食いならぬつまみ読みですが、もう少ししたら001からぎっちり読みに参ります。

うひゃー(汗

 こんにちは。
 いつもお世話になっております、女傑蓮野です。11月中旬から掃除の鬼と化しておりますが、師走に入ってからますます激しく掃除の鬼と化している次第で御座います。

 それはともかく。

 苦し紛れに詠んだ一首がお目にとまるとは、なんと言いますか、申し訳ない気持ちがしています。
 「逢」というお題だけならいくらでも詠めたんですが、セットの「警」のほうをどう料理するかでてこずりまして。苦し紛れにヤケクソ気味に詠んだ歌があれなのです。
 ですから、それを選んでいただけたとは、ひたすらびっくりでして(汗)。
 ありがとうございました。

はい!

ありがとうございます。
私の苦し紛れも鳥羽さまにはすっかりお見通しですね。

精進いたします。

家計簿、実はつけていないのですわ。
会社では帳簿つけてますけど・・・(笑)

ありがとうございます

拙歌とりあげていただきありがとうございます。
鳥羽さんの丹念な歌詠みに感激いたしました。
しかも、この歌をとりあげていただけるとは。
いや~、わかっていらっしゃる。
(でも、これ自分のことではないですから)
これからもよろしくお願いいたします。

遅れてまいりました

鳥羽省三さま

拙作を取り上げていただきありがとうございます。
光栄です。

塩でなく、潮のほうが雰囲気が伝わりますね。
海なので・・・ご指摘ありがとうございます。

たしかに恋も愛も忘れてしまう、とも読めますね。

詠んだ意図としては、いろいろな算段にみずから翻弄されるよりも潮風に気持ちを任せよう、という意味合いのつもりでしたので、いただいた返歌をなるほどと面白く読ませていただきました。

ゆっくり001から、選評読ませていただきます。
ありがとうございました。

プロフィール

鳥羽省三

Author:鳥羽省三
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