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今週の朝日歌壇から

○ 軒並みに電飾せよとのお触れあり今や街とは呼べぬ通りに  (長野県) 沓掛喜久男

 いわゆる<シャッター通り><シャッター街>は、今や日本全国何処に行っても珍しくない。
 その「街とは呼べぬ通りに」、「軒並みに電飾せよとのお触れあり」。
 「お触れ」とあれば、それは役場などの行政機関からの命令に違いなく、民草たる者は、泣く泣く従わざるを得ぬ。
 「お触れ」の一語に、作者・沓掛喜久男氏の生きる姿勢が示されていて妙。
   〔答〕 軒並みに電飾しても客は来ぬそもそも人は猿より少ない


○ 子を抱く生き物同士の目が合ひぬ動物園のサルと私と  (和泉市) 星田 美紀

 「動物園のサルと私と」は、「子を抱く生き物同士」と言うよりも、檻の内外の違いはあれど、<我が子安かれ>と祈る<同志>である。 
 だから、ばっちりと「目が合」い、心が合うのだ。
 上の句と下の句とが一体となった佳作である。
   〔答〕 檻隔て生き物同士の睨み合ひサルが私か私がサルか 


○ 電柱の決まって根元に貼られ居りペット火葬の業者のビラは  (所沢市) 栗山 雅臣

 この頃多くなりましたね。そんなビラが。
 でも、ペット業者のはまだいい。
 「決まって電柱の根元に貼られ」ているから、そのうち道行くワン公たちのおしっこの洗礼を浴びて溶けてしまうから。
 困るのは、落選した自民党公認候補のビラ。
 あれから貼られっぱなしの事前運動演説会のビラ。
 次回選挙まで持たせる気なのか?
   〔答〕 総理来る麻生来るとの選挙ビラ図太く今も風にヒラヒラ 


○ 秋晴れの朝の清しさくっきりと富士のかたちに凹む空見ゆ  (平塚市) 河野伊佐央

 空が主役で、富士が脇役。
 しかも上下逆様。
 主客転倒・上下逆様の発想転換が見事。
   〔答〕 小春日の昼すがすがし葉を脱ぎし楡の形に空は抜かれて
       葉を脱ぎしケヤキ象り空抜けて師走ついたち陽は暮れなづむ


○ 疚しさのなき生うすし許されぬ愛など抱きて生きたかりけり  (高松市) 沖津 秀美

 何処かの国では、ママからの巨額のプレゼントを貰った宰相が居て、政権を投げ出そうかどうかと思案中という。
    〔答〕 貧しさを知らぬ総理がばら撒きのマニフェストゆえ苦境に立ってる


○ 番号を呼べばうっかり返事するコインロッカーのあわずや夜更け  (和泉市) 長尾 幹也

 夜更けのコインロッカールームは暗くて、自分の荷物を入れたロッカーを探すのに一苦労。
 「いろはの<ろ>の<397番>、お前は何処に隠れた」と酔客が叫んでいる。
 ところで、金を積まれれば顧客の個人情報を漏らす銀行員や証券会社員がいると聞くから、「番号を呼べば」うっかり「返事」をしたり、口を開けたりする「コインロッカー」だって、本当に居るかも知れませんよ。香港辺りには。
   〔答〕 番号を呼ばねどづかづか出でて来て「俺のをやれ」と無理を言う客


○ この道の上にも集落この道の下にも集落ありてバス停  (館林市) 阿部 芳夫

 最近は、どこの山村に行っても、自民党政治のお蔭でバイバスが作られている。
 そうなれば、それまでは旧道を走っていたバスがバイバス沿いに走るようになり、そこにバス停も出来る。
 バイパスの一廓に作られた、バス停の上には旧道に沿って家が数軒の集落があり、バス停の下にも別の道があって、そこにも家が数軒だけの集落がある。
 過疎の集落に住む高齢者たちの共通の悩みは、一日数本しか走らないバスに乗るためには、長い山坂を登り降りして、新設のバス停まで行かなければならないこと。
    〔答〕 俺んちの前には以前バス停が在った筈だが今は何処に 
と、中古車を運転して、久しぶりに帰郷した若者が言ったとか?

 
○ われの名に辿り着くまで姪や孫猫の名も出る小春日の母  (町田市) 古賀 公子

 転居前に<今生の別れ>をと、私は、郷里の老人介護施設で余生を送っている二人の老女を見舞った。
 その一人は、私の連れ合いの実母で、もう一人は実姉。
 義母は痩せこけて骨がらがらではあったが、意識は意外にはっきりしていて、連れ合いが私を指差して、「この人誰?」と言うと、即座に、「鳥羽省三さん。あんたのダンナ」と答えた。
 実姉は見かけは健康そのものだが、認知症がかなり進んでいて、実の弟の私を指して、「この人だれ?」と、介護職員の方に訊いていた。
    〔答〕 甥の名や猫の呼び名は出さねども実弟の名を言えぬ呆け姉
        我も亦かならず至る道なれど義母の老けざま姉の呆けざま


○ 噴水は色なきがいい秋の陽に形を変えつつ風景を消す  (長野県) 沓掛喜久男

 公園の噴水の水は無色不透明、決して水色でも透明でもない。
 その無色不透明の噴水の水を、作者は「いい」と言う。
 何故なら、噴水は無色不透明の水なるが故に、秋の陽を浴びて形や色を変え、その形なり、その色なりに、余の風景を消してしまうから。
 『徒然草』<235段>に、「鏡には色・像なき故に万の影来りて映る。鏡に色・像あらましかば映らざらまし。虚空よく物を容る。我等が心に念々のほしきままに来り浮ぶも、心といふもののなきにやあらん。心に主あらましかば、胸の中に、若干の事は入り来らざらまし。」とある。
 朝日歌壇の常連・沓掛喜久雄氏のこの一首も亦、兼好法師の言葉同様に示唆に富む。
   〔答〕 噴水は形無きまま風に揺れ森羅万象ものを象る

  
○ 染めるのを辞めただけです有難う肩たたかれて席ゆずられる  (横浜市) 宮本真基子

 白髪や胡麻塩を黒く染めると、少なくとも十歳は若く見られる。
 かく言う私も、女性に持てたい、という下心ゆえに白髪染めを施していた。
 ところがある日、はたと気が付いた。
 「これ以上、私ばかりが持ててどうする。私ばかりが持てていたら、余の高齢者たちが悲観して、日本が暗くなる。」と。
 それ以来、私は、美容院での白髪染めを止めた。
   〔答〕 染めるのを止めただけです見る通り今も矍鑠わたし持て持て  

 
○ 黄昏て汐満ち来ればふいにボラ跳ねて河口の景を動かす  (西海市) 前田 一揆

 「黄昏て汐満ち来れば」という上の句は、自分の気持ちをボラに移入して詠んだのであろう。
 下の句の「ふいにボラ跳ねて河口の景を動かす」は、「ボラ」と「河口の景」との一瞬の動きをよく捉えている。
   〔答〕 たそがれて胡麻塩なれど我も亦ふいに跳ねたき気がせぬでなし         
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