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一首を切り裂く(043:係)

(久哲)
    ペンギンは飼育係と連れ立って喫煙室に帰国しました

 本作は、あの塚本邦雄の著名な作品、「日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも」を頭に置いて詠んだものであろう、とは、一応は思われる。
 だが、それは、ほんの見せ掛けに過ぎず、作者・久哲氏の言わんとする、本作の内容は、いたって簡単、つまり、「それまで、ペンギンショウの主役を演じて子供たちを喜ばせていたペンギンが、その飼育係と連れ立って、ステージ裏に引っ込んでしまいました」というだけのことに過ぎません。
 それなのに、<ステージ裏に>を「喫煙室に」と言い換えたり、<引っ込んでしまいました>を「帰国しました」と言い換えたりするのは、彼・久哲氏の素直でないところであり、憎めないところでもあります。
 あの久哲氏のことだから、このような、持って回った言い方をするのが、歌人の歌人たる所以だ、などと不遜なことを考えているかも知れません。
 でも、評者の鳥羽省三は、久哲氏のそうしたご性格を軽蔑しつつも、深く敬愛してもいる。
 故に、久哲氏を弁護して言えば、ペンギンと連れ立って飼育係が引っ込んで行った<ステージ裏>は、飼育係らの「喫煙室」を兼ねているのかも知れません。
 また、その喫煙室を兼ねたステージ裏に彼らが引っ込んでしまったことを、久哲氏が、「帰国しました」と言ったのは、ステージを去る時の彼らの動作と表情が、まるで、巨人の助っ人・マルチネス選手がシーズンオフになって故国に帰国する時のように、大袈裟であったからなのかも知れません。
 と、弁護してみてもそれだけのこと。
 したがって、この作品を、「塚本邦雄作品の<本歌取り>の歌だ」などと構えて読む必要は、さらさらにありません。
     〔答〕 暇人の久哲さんが出でて行く、喫煙室に行くのでしょうか?  鳥羽省三 


(髭彦)
    <分かれ目>と涙でひとの歌ひ来しはたと気づかむ係り結びと

 髭彦氏作のこの一首を、私が無難に観賞出来るのは、私が過去に於いて、次に述べるような体験を持つ者であるからに違いありません。
 卒業式を前にした私の勤務校の職員室は、昨日、卒業生たちの討議に依って今年度の卒業式の<式歌>に決定した、唱歌『仰げば尊し』についての話題で盛り上がっていた。
 国語教師某曰く、「<思へばいと疾し><この年月>の<いと疾し>を、私のクラスの生徒たちは、その意味を知らないもんだから、<おととし>などと歌っている。明日、練習前に、意味を教えて、改めさせなきゃー」。
 校長曰く、「<いまこそわかれめ>の<わかれめ>とは、<ここが勝敗の分かれ目>などと言う時の<分かれ目>なんだよね。卒業式は、卒業生と在校生の分かれ目であり、卒業生と恩師との分かれ目でもあるから」。
 かく云う校長は、書道家として県連盟の会長を務めた人物であるが、かつては、国語教師として、教壇に立った経験を持つ者なのである。
 当該の高校は、その頃、雨後の筍のようにぞくぞくと生え出た、新設校・底辺校ではありません。。学区のトップ校として、世間に名の通った高校なのであります。
 笑うに笑えない話ではありますが。
     〔答〕 「別れめ」を「別れ目」と云う校長は、<係り結び>を知るや知らずや  鳥羽省三  


(井手蜂子)
    うさぎからはじまり今は伯父の身体拭くわたしはずっといきもの係

 私が知っている三人組の音楽グループのバンド名は、「いきもの係」ではなく、「いきものがかり」である。
 彼のグループのバンド名は、「メンバー中の水野良樹と山下穂尊の二人が、小学生時に<生きもの係>であったことに由来する」と聞く。
 「うさぎからはじまり今は伯父」が、本作の<分かれ目>ならぬ<利き目>。
 作者の井出さんにお尋ねしますが、この一首を、「うさぎから始まり今は伯父を拭くわたしはずっといきもの係」としたら、いかがなものでしょうか。
 作者の井出さんとしては、三句目の字余りは、どうしても必要なんでしょうか。
     〔答〕 冬物のラシャ地に始まり今は絽だ 妻はワンコの衣装係だ  鳥羽省三  


(磯野カヅオ)
    遠慮など微塵も見せぬ福耳の持込荷物検査係よ

 「持込荷物検査係」が「遠慮」などしていたら、たちまち「ダグラス機乗っ取り事件発生」と相成る。
 「福耳」のあの「検査係」も共犯と疑われ、たちまちご用。
 各々方、ご用心なされ。遠慮など微塵も要らぬ。
 とは言え、いつものことながら、さすが磯野カヅオさん。
 余人とは着眼点が違うね。
     〔答〕 油断など微塵も見せぬターバンの男はサリバン乗っ取り犯だ  鳥羽省三
         手抜きなど微塵もしない磯野さんいつもながらの見事な歌だ    同
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モノクロのペンギン

省三様
毎度、ありがとうございます。
久哲でございます。

ま。なんじゃかんじゃで、巻頭歌にお選び。
ありがとうございます。

この歌、確かに見せている世界が狭いですね。
勉強になりました。

では

ペンギン村に一台も無いタスポ付き煙草自動販売機 久哲

おやすみなさいませ。
久哲でした。

こんばんは。その2

磯野カヅオです。
コメント、ありがとうございます。

この歌の眼目は"福耳の"という部分で、あとはそのままの意味の歌なのですが、この歌で"出国"しまして、この歌から5首(47首目まで)は旅行詠なのです。連作とまではまいりませんが、43首目から47首目までは、たまたま旅行詠として詠むことになりました。

この歌については、以上です。
それでは、失礼します。
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