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一首を切り裂く(033:冠)

(水口涼子)
    冠の親王雛を「おやだま」と読む子になごむ春のデパート

 早春にお詠みになられた作品の観賞文を、秋深まった今頃になって記していることに、いささかならぬ戸惑いを感じつつ、拙文をものしております。
 「親王」雛を「おやだまと読む子」、可愛いですね。
 お雛様に限らず、「おやだま」格の者は、たいてい冠めいたものを被っていますから、この子は、いち早く、親王雛を「おやだま」だと感じたのかも知れません。
 「王」と「玉」との違い、<テン>の有る無しを見落としたのは別として、あるいはこの子は、もう既に漢字の読解能力を有しているのかもしれません。
 いずれにしても、とても可愛く、将来有望なお子様です。
 「おやだま」という、その子の声が響いた瞬間、デパートのお雛様売り場全体に「春」が訪れたのでしょう。
     〔答〕 天皇を「てんちゃん」と呼ぶ歌人居て、結社誌「K」の歌会は侘し
 と申しても、私は特別な皇室ファンではありません。


(夏実麦太朗)
    気がつけば娘二人の名の中に草冠が被さっており

 この作品を読んで、名前の一字に「草冠」を戴く女の子の名前をいろいろと考えました。
 薫、葉子、蓉子、菜穂子、菜摘、華子、美花、美華、花子、茉里、茉莉、花梨、藍子、蘭子などといろいろさまざまですが、還暦を遙かに過ぎて、半ば呆けてしまった私の頭の中に浮かぶのは、一時代も二時代も前の子供の名前で、今の若い夫婦が聞いたら、「なにー、これー」って、奇声を発するに違いありません。
 ところで、離れて暮らす私の孫の名は「美莉」です。
     〔答〕 気がつけば孫娘の名も草冠 大地に根を張りすくすく育て  鳥羽省三
 夏実さまの愛娘様たちの御名はどんなお名前でしようか。


(庭鳥)
    あの後を初冠の男君如何に生きたか知りたく思う

 「初冠」の後は、さる高貴な女性に通じたことが発覚し、権門に睨まれて都外追放の憂き目に遇い、東国放浪の旅に出た。
     〔答〕 名にし負はばいざこと問はむ在原の昔男の在りや無しやと  鳥羽省三
         鳥が鳴く東の国のさすらひはいかにさびしきものとかは知る  同   


(久哲)
    お願いがあるの冠鳩のあの頭の羽でくすぐって 今

 こんな変なことを「お願い」するとは、才人<久哲>は、変態性欲の所有者なのであろうか。
 そもそも、「冠鳩の頭の羽でくすぐる」のは、どこの国の風俗のスペッシャルサービスなのでしょうか?
     〔答〕 お願いは聞いた いま直ぐパンツ剥ぎ、君の股座(またぐら)どついてやろうか  鳥羽省三


(ひぐらしひなつ)
    選ばれて赤い鶏冠を持つ者が喉ふるわせて解体を待つ

 雄鶏の「赤い鶏冠」は、選ばれた者のみが戴く、名誉ある冠なのですか。
 選ばれて冠を被せられた者が、今また選ばれて、殺戮され、解体され、食肉にされる様はあまりにも惨たらしい。
 「喉ふるわせて」が効き目です。
     〔答〕 選ばれて頬に青痣持つ打者がバット一振り空しく凡退  鳥羽省三
 先日の日本シリーズを視ていて、私は、巨人ファンながら、日ハムの敗北に一抹の哀れを感じました。


(野州)
    刳りぬきし眼窩にファンタの王冠を嵌めて帝都を彷徨ひあるく

 ひと頃、ファンタの王冠集めが大流行しましたね。
 あの騒動は、今、何処に消えたのでしょうか。
 その「ファンタの王冠を」、「刳りぬきし」「眼窩に」「嵌めて」、「帝都を彷徨ひあるく」者は、劇画か何かのダーティーヒーローなのでしょうか。
 もし、そうならば、その劇画のタイトルと彼の名をご教授下さい。
     〔答〕 痩せこけし口の内らに銀の歯を嵌めて教授は万葉を説く  鳥羽省三
         「<万葉>は<まんよう>でなく<まんにょう>だ」と、老いし教授は義歯を飛ばして
                                             鳥羽省三

(近藤かすみ)
    太郎冠者がけさも自転車漕いでゆく烏丸通をまつすぐ北へ

 男の子が「太郎冠者」「次郎冠者」なら、女のお子さんは「瓜子姫」でしょうか?
 お隣りの静香さんちの瓜子姫・美里ちゃんは、放課後のアルバイトに、横浜高島屋の「売り子」をやっているご様子です。
 最近の太郎冠者・次郎冠者たちの最大の特徴は、自動車を欲しがらなくなったことではないでしょうか。
 我が家にも、離れて暮らす二人の冠者がおりますが、彼らはいずれも、大枚叩いて買った中古車を売却し、最近は、多摩川土手のサイクリングロードで自転車を飛ばしています。
 でも、その自転車も、私が愛用しているママチャリとは違って、二十数万円のスポーツ車なのです。
 同じ自転車を乗り回すのでも、京都住まいの方なら、「烏丸通をまつすぐ北へ」と、何かと風雅なことですね。
     〔答〕 次郎冠者が土曜の午後に来るという母の顔見にPEUGEOT(プジョー)を漕いで
                                                    鳥羽省三
 太郎冠者や次郎冠者は、昔も今も変わらず、母を泣かせ父を怒らせます。


(蓮野 唯)
     雄鶏の冠を見るひよこ達世界で一番強い父さん

 本作については、作者の蓮野唯氏ご自身から、「この回で、鳥羽(さん)が、私のこの作品をとり上げようとしていたのを、私(蓮野氏)が、事前に覗き見しちゃったので」との、コメント付きの<拍手>をいただいた。そこで私は、 一度は断念した、本作の観賞を再度試みることにした。
 評者が、この回の詠進者の作品をざっと見渡した段階で、この作品を今回の鑑賞対象作品のひとつにしよう、と思ったのは事実である。そう思ってはみたが、最終段階では、これを観賞対象から外した。その理由は、この作品のある一点に、私は不満と残念さを覚え、それをそのまま口にして公開したならば、全国の蓮野ファンや蓮野氏ご自身から、「辛口も度が過ぎると、それを口にしたお前自身の命取りになるのだぞ」などとの、厳重な抗議や脅迫を受けるに違いない、と思ったからである。
 でも、よくよく考えてもみれば、蓮野氏は、鳩山内閣の花、<泥中に咲く蓮の花>とも申すべき、あの福島のおばちゃんと比較しても決して劣らない、優しく節度ある御心を有しておられる方であり、それを支える、蓮野ファンの方々も亦、然り、である。だから、ここは、後々のことなど心配せず、この作品について思ったことを、一切、隠し立てせず、堂々と述べてみよう。
 能書きが長かったが、いよいよ本論。
 雌鳥が卵を産み落とすや否や、お腹をすかした飼い主や野良猫がそれをくすねたり飲み込んだりするすることなどが無く、産み落とされた卵が、百発百中、ひよことしてこの世に表れ出ることが出来た頃の昔。
 孵化したばかりのひよこたちが、お父さんたる雄鶏の後によちよちとついて行き、「私のお父さんって、なんてカッコいいんだろう。だって、あの赤くて立派な鶏冠(とさか)は、選ばれた者だけが、神様から与えられて被っているものなのよ。うちのお父さんは世界一のお父さん!」などと思っているかの如き表情で、雄鶏を見上げている光景は、神童(?)と言われていた時代の私が、ほとんど毎日目にしていた、今となってはあまりに懐かしく哀しい光景である。
 私は、この一首を見て、久しぶりにこのことを思い出した。そして、蓮野氏こそ、この鳥羽と時代を共にする者だ、とさえ思った。そして、そして、次の瞬間、その切ない思いと、蓮野作品への共感とを、蓮野氏ご自身や、全国の「見沼田圃の畔から」の読者諸氏に、観賞文を通して伝えようと思った。
 だが、次の瞬間、私は、「だが、待てよ。作中の『冠』は、<とさか>では無く<かんむり>と読むのかしら。雄鶏のいとし子たる、ひよこ達にとって、尊敬するお父さんが戴く<鶏冠(とさか)>は、解剖学用語の<鶏冠>などではなくて、まさしく赤々と輝く<冠(かんむり)>に違いない。だから、そこのあたりのことを配慮して、作者の蓮野氏は、ここを、<鶏冠>とせずに、<冠>としたのであろう。だが、考えてみると、<鶏冠>という二字の語の中にだって、ひよこ達の憧れる<冠>ていう文字が組み込まれているのだから、ここはどうしても、<冠>では無く、<鶏冠>にすべきだ。そうだ、この作品は、『雄鶏の鶏冠見上げるひよこ達 世界で一番偉い父さん』とすべきだ。」と思ったのである。
 申し述べてみると、本作に対する私の不満とは、たったそれだけのことである。たったそれだけのことで、愛すべきこの作品を、鑑賞対象から外した私が馬鹿だった。私は、本当に<うましか>だった。蓮野氏及び全国の蓮野短歌ファンよ、許されい。
 作者ご本人から、先付けメールを頂いて、評者の私が、その後を追いかける、という、今回の事態を通じて、私が考えたことが一つある。
 それは、「一首を切り裂く」という、私の試みは、その対象を私が選定し、選定した私自身が<切り裂>いていたのは、少し横暴過ぎたのではなかったか、ということである。
 全国の短歌作者の中には、「私のこの作品は、私自身としても、決して傑作とも佳作とも思わないけど(或いは、大傑作だと思っているけど)、せっかく苦労して創ったのだから、誰かに読んでもらいたいわ。そして、辛口でも甘口でもいいから、どちらかと言うと甘口がいいけど、誰かに批評してもらいたいわ。」と思っている方が居られるに違いない。
 いや、短歌作者のほとんどの方は、そういう思いの所有者に違いない。特に、「題詠2009」に参加表明して、それほど上手いとも思われない歌(数在る中には、あまりに上手すぎて、私が脱帽してしまうのも在るよ)を、わざわざ投稿している方々は、そういう思いの権化となって居られる方々に違いない。
 だから、もしも、そういう思いに捕らわれているお方が居られたら、その方は、「私のこの傑作を取り上げ、思いっきり<切り刻>んで下さい。」あるいは、「私のこの駄作を採り上げ、思いっきり誉めて下さい。」などと、私宛に、メールをお寄席下さい。
 つい慌てて、「お寄せ下さい」を「お寄席下さい」としてしまったが、考えてみると、マイブログ「見沼田圃の畔から」での、私の、的外れな短歌観賞文などは、最近成り上がりの真打ちたち(特に誰とは言わない。故林屋三平氏の二人の息子などとは決して言わない)の演じる、下手な落語のようなものであった。それでも構わないなら、どうぞ奮ってメールをお寄せ下さい。辛口・甘口、どちらでも自由自在に言い分け、書き分けます。
 蓮野さんの作品をだしにして、自分の言いたいことを、つい、口にしてしまったが、思ってもみれば、蓮野さんからのメールは、私の勝手な申し出の口火となったのだ。ジャンヌダルクになったのだ。蓮野さんも、福島のおばちやんと比較されたり、ジャンヌダルクにされたりで、それはそれは大変だ。
 失礼致しました。
     〔答〕 蓮野氏をうっとり見上げる子供たち この世でいちばん偉いおばさん  鳥羽省三
         母上がおばさんになりばばになる これを称して<子離れ>という     同
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鶏冠じゃない理由

 女傑な蓮野参上☆

 「鶏冠」ではなく、「冠」な理由。
 「雄鶏の鶏冠」だと、「鶏」の文字がくどいから。

 そんだけです。<シンプル~~☆

 垂れ流し的に読む私だって、字面のよしあしくらい考えますわい( ̄ー ̄)ニヤリッ

 で、実は拍手に投稿したときに寝ぼけていて、実は投稿場所を間違えたばかりか、ぶっちゃけ私の勘違いでやらかした投稿だったという話は、ここだけの内緒です(爆)。さらに、今朝ここの本文を読んだときに自分が拍手からコメントしていたことを完全に忘れていて混乱したことも内緒です。
 恥ずかしいから絶対に内緒ですよ?w

冠鳩は絶滅危惧種

省三様。
こちらでもありがとうございます。

この歌、好きだみたいなことを言ってくれた人が一人。
拾ってくれたのが、省三様で計二人。(好きだとは言ってませんが)

もっと受けると思っていたのにな。
いやいや、もちろんお二人でも充分嬉しいです。
ありがとうございます。

流石に、このプレイはしたこと無いですね。
特許取っておこうかしら。

男には男の歌をそう言うが僕の股間もそろそろ斜陽 久哲
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