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一首を切り裂く(031:てっぺん)

(久哲)
   凹側のてっぺんとしてマリアナ沖海溝1万1千メートル

 文句無しの巻頭である。
 「地球上の、海抜より高い所を<凸側>とし、低い所を<凹側>とする」といった発想は、まさに天才バカボン(失礼、バカボンは余計)久哲さんならではの、奇抜にして斬新な発想かと思われます。
 誰もが難渋する、お題「てっぺん」を詠むに当たって、このような奇抜な言葉を思いつき、他人の作品を貶すことを生き甲斐にしている鳥羽省三を脱帽させたのは、久哲さんが、あの宮廷歌人・○井某氏から言葉を掛けられて、メロメロとなるような軟で雑な男でないからでありましょう。
 おめでとう。久哲さん。
 今日の日の喜びを記念して、私・鳥羽省三は、五次元歌人・久哲さんに、次の一首を贈呈致します。
 この一首と巻頭の一首、「凹側のてっぺんとしてマリアナ沖海溝1万1千メートル」とを一対となし、ご自身の代表作として、幾久しく愛唱して下さい。
    〔答〕 凸側のてっぺんとしてのエベレスト現地の人はチョモランマと呼ぶ


(髭彦)
    てっぺんのさびしくなれる頭をばザビエル禿げと呼びしひとあり

 高校の社会科研究室に屯している面々は、校内切ってのうるさ型揃い。
 「ザビエル禿げ」という名誉あるニックネームを奉られたのは、非組で付き合いの悪い社会科主任なのかも知れない。
 同僚から奉られた、このニツクネームは、やがて全校生徒の知るところとなり、日本史担当の<ザビエル禿げ氏>が、ご本尊の名を口にする度毎に教室中から爆笑が起こるだろう。
    〔答〕 額髪の後退したる教師をば東京湾と名付くるが佳し 


(西中眞二郎)
   理容師の掲げる合せ鏡見ればてっぺんかなり薄くなりたる

 本作の作者・西中眞二郎さんが髭彦さんの同僚でなくてよかった。
 もし、同僚ならば、頭の「てっぺん」が「かなり薄く」なった西中真二郎さんは、「ザビエル禿げ一世」として、謎彦さんの元勤務校に君臨したことであろう。
    〔答〕 理容師も合せ鏡を掲げては自分の禿げの手当てしている


(磯野カヅオ)
   原罪をジェンガのごとく積み上ぐるカルペ・ディエムのてつぺんにをり

 「カルペ・ディエム」とは、イタリア人、マウリツィオ・アルティエ(1966年~)が設立した、靴、レザー製品などの製作工房の名称であったが、その後、その製品が服飾全般にまで拡大し、「カルペ・ディエム」の名は、今では、世界的人気ブランドとして知られるようになった。
 本作は、そのブランドを直接詠んだものではなく、その由来となったラテン語の意味、「今、この瞬間を生きる」、「その日を摘め」などの言葉との関わりで詠まれたのではないだろうか、とするのが私の考えである。
 もし、そうならば、作中のもう一つのカタカナ語「ジェンガ」は、立方体を積み上げていくゲームであるから、「恥多き人間・磯野カヅオが、生まれながらにして背負わされている原罪を、あのジェンガのように次々に積み上げて行くしか芸の無い私であるが、それにもめげず、今、この瞬間を、そのてっぺんに居て、私は生きているのだ」といった、小難しい意味になるのでは無いだろうか。
 サザエさんの愚弟めかしたお名前ながら、磯野カヅオさんの作品はいつも南海だ。
 四度目まして、磯野さん。
    〔答〕 <カルペ・ディエム─その日を掴む>磯野氏は、ダイニングバーなどまさか詠むまい


(花夢)
   三日月が夜のてっぺんを切り裂いて言いたいことがあふれてしまう

 「三日月が夜のてっぺんを切り裂いて」という上の句が秀逸。
 その鋭い形状から、「三日月」を鎌に見立て、その鋭利な<鎌>によって、「夜のてっぺん」である天空が切り裂かれ、その隙間から、作中の<わたし>の「言いたいことがあふれて(行って)しまう 」というのであろうか。
 暗黒の天空の隙間から「あふれてしまう」ところの「言いたいこと」とは、どんなことであろうか。
 夜空への賛美の言葉か?
 それとも、日常生活への愚痴か?
    〔答〕 満月が夜空の穴を塞ぐから私のメールは届くはずない


(こうめ)
   てっぺんを更新してゆくかき氷 蜜で崩れることを知りつつ

 「てっぺんを更新してゆくかき氷」という上の句の発想が素晴らしい。
 インターネット時代に生まれ合わせ、「更新」などという、味も素っ気も無い変な熟語を使い慣れているから、こうした発想が出来るのだろうか?
 この上の句を俳句として発表したならば、「かき氷」という季語も詠み込まれているから、あの金子兜太氏が絶賛するであろう。
    〔答〕 水際を更新して行く禿げ頭 金子兜太の兜が滑る


(ゆふ)
   組体操のてつぺんに立ちし子よそこから見ゆるものは何ですか?

 学童を子として持つ者の気持ちが良く詠み込まれていて好感を持てるが、「立ちし子よ」という三句目中の助動詞、「し」の使い方に難有り。
 「し」は、過去の助動詞「き」の連体形であるから、眼前に進行中の景色を詠もうとしている本作の場合は、不適当な用法である。
 ここは、存続の助動詞「り」の連体形「る」を用いるのが適当であろう。
    〔答〕 組体操のてつぺんに立てる愛し子よそこから見ゆるものは何かな


(小早川忠義)
   鶴川の「てっぺん料理」の名物は無施肥無農薬野菜の御膳

 小早川さんの作品に詠まれている「てっぺん料理」 を、インターネツトで検索してみたところ、次のような記事が掲載されていた。そこで、それをそのままコピーして示す。

 町田市金井4-5、鎌倉街道「金井クラブ」バス停から路地を登り詰めたところにある、焼き肉と定食の店、てっぺん料理(電042・735・5073)で、自然食セットが好評になっています。 
 同店では2001年9月から「無農薬」「無施肥」の野菜にこだわり、北海道や新潟、千葉など全国の農家から直接仕入れた野菜を使った料理を提供。
 「無施肥」とは肥料も使っていないもので、「土と水と太陽でできた自然の味です」と斎藤文男店長は話します。 
 この自然食セット1000円の内容は日替わりで、旬の野菜をふんだんに使った家庭的な味わい。
 午後2時までのランチタイムには、「無農薬」のコーヒーまたはデザート付き。

 「てっぺん料理」については、これの他にもまだまだ沢山の記事が掲載されているが、それらのほとんどは、小早川さんの作品に見られる「てっぺん料理」の記述と一致している。
 しかし、それを以て、小早川さんの作品が、インターネットから取材して創作されたものと断定するわけではない。
 私が思うに、本作の作者・小早川忠義さんは、町田市辺りに住まいになられ、ご自宅の近くの「てっぺん料理」に、何回と無く足をお運びになられたのであろう。
    〔答〕 行きつけの神保町の「さぶちゃん」は<半ちゃんらーめん>の元祖なそうな  
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省三様
ありがとうございます。

省三様なら、お気づきでしょうが、僕は各お題を素直に詠んで
やらないと言う縛りというか、基本性格をしておりまして。

これも単純に表裏の裏を極端にしただけ、なのですが
読んでいただけて嬉しく思います。

それでは、恒例(か?)の返歌返歌

凸側で遭難をして凍りつくシェルパ少年その一、その二

それでは、ありがとうございました。

ありがとうございました。

いつもブログにお知らせの書き込みをありがとうございます。
ここに取り上げていただけるのがとても嬉しいです。

髭彦さんと西中さんの流れに不覚にも笑ってしまいました。
(途中からお名前が謎彦さんに変わっているような)

満月は蓋なんですね。なるほどなるほど。

はじめまして。

拙歌を取り上げていただき、ありがとうございました。
俳句の可能性というのは考えたことがなかったので勉強になりました。
今、金子兜太さんの俳句を「検索」しつつ興味深く読んでいます。
たしかにここ10年ほどで広まった熟語は昔の感触とは違いますね。
レトルトっぽいような…?

今後ともよろしくお願いします。

おはようございます。

朝から失礼いたします。磯野カヅオです。

鑑賞コメント、ありがとうございます。
歌意は鳥羽さまのご理解の通りです。

僕の歌の中に、少し難しい言葉を入れた歌があったり、あるいは少し分かりづらい構成の歌があったりするのは、読んで欲しいけど安易には読まれたくない、それでも読んでもらえたら嬉しいけど読まれなくても気にはしない、みたいな"少しめんどうな思い"が自分の中にあるからなのかもなと、今回の鳥羽さまのコメントを見て、思いました。

まだまだゴールは遠いです。

それでは。
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