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一首を切り裂く(025:氷)

(久哲)
   氷上に放り出されたワカサギに閉じるまぶたが無くてよかった

 氷結した湖面に穴を開けてするワカサギの穴釣り。
 その穴釣りで釣るワカサギは、釣り上げられるや否や冷たい湖面に放り出されてたちまち冷凍になってしまう。
 その可哀想なワカサギが、針にかかって釣り上げられ、湖面に投げ出されて凍りつくまでの過程で、どんな哀しい思いをするだろうか、と、博愛主義者の久哲さんは優しく思い遣っているのである。
 ワカサギだって生き物だから、針に掛けられ引き上げられたら痛いと思うだろう。
 湖面に投げ出され凍りつく瞬間には、恐くて目蓋を閉じたくなるだろう。
 だが、ワカサギには、その閉じる目蓋が無いから「よかった」と、久哲さんは言うのである。
 でも、「ワカサギに閉じるまぶたが無くてよかった」のは何故だろうか?
 また、ワカサギという魚には、本当にまぶたが無いのだろうか。
 何事につけても大雑把な久哲さんは、そこの辺りのことについては、何一つ言及しない。
 そのこだわりの無さ。
 換言すると出鱈目さ。
 「他人に解ってもらおう」などというケチな考えは端から放棄している野放図さ。
 そこの辺りが、久哲短歌のたまらない魅力なのである。
    〔答〕 警官に捕まえられたクサナギの剣が尖っていなくてよかった 


(梅田啓子)
   腎を病む母は氷を舐(ねぶ)りつつのどの渇きに堪へてゐたりき

 腎臓病に苦しむ人は、喉が渇くのだろうか。
 その「のどの渇き」を和らげるべく、「氷を舐りつつ」病床にあった「母」の姿が、作者・梅田啓子さんの脳裡に今でも焼き付いているのであろう。
 お題「氷」を前に四苦八苦して、観賞に価しない作品を投稿された多くの作家たちの中に在って、いつもながらの梅田啓子さんの安定した作風が目立つ。
    〔答〕 腎を病む母に添い寝の小夜更けは風の音にも泣いたであろう


(八朔)
   全身に墨施して吃音の若者ふたり鎮まる氷室 

 「氷室」というのは、都会の街中の製氷会社の製氷室のことであろうか。
 それとも、雪国の田舎で、天から降って来た雪を積み上げて踏み固め、その上を稲藁などで覆って作った、昔ながらの氷室のことであろうか。
 その辺のところは、作中の表現からは読み取れない。
 また、「全身に墨施して」とは、その「吃音の若者」たちが、身体全体に刺青を施しているのであろうか、それとも、若者たちの日焼けした様子を誇張して言うのであろうか。
 その辺りのことについても全く不明であるが、投稿作品の多くが、無気力としか言いようの無いレベルであった中にあって、本作に漂っている不気味さには、それなりの魅力が感じられた。
    〔答〕 半身をタトゥーで染めてこの夏を氷室の氷切り出す青年
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まぶたいんふるえんざ

氷の巻頭歌に選んでいただいて、光栄です。
(発表順だって!)

ええ、大丈夫ですワカサギには目蓋はございません!
第一もし目蓋があって、情感たっぷりな死に方された
日には、それこそ天ぷらにして食べれませんがな。

あ、そうか「天ぷら」からの連想で、ワカサギか。
相変わらず単純です。僕は。

>警官に捕まえられたクサナギの剣が尖っていなくてよかった 

返歌、ありがとうございます。
このお歌、結構面白くて好きです。

それでは、いかなごで
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鳥羽省三

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