スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僧侶等は

僧侶等は白き草履に目印のなければとまどふこの世の庭に  奥平初子『四照花』より
 
 数年前のことであるが、私は後学の為にと、曹洞宗のある寺院で行われた、晋山式という行事に出席(と言うよりも見学)したことがあった。
 晋山式とは、言わば寺院の住職交代儀式で、ある寺院で、それまで住職を務めていた僧侶が死亡したり引退したりした場合、その職務を引き継ぐべき別の僧侶が、その寺院の正式な僧侶として入山することを記念して行う行事であるそうだ。
 その式が行われた寺のj前住職は、同宗派のその地方の僧侶の実力者とか言うことで、その後継者たる息子のためのその儀式には、曹洞宗の二つの本山たる永平寺と総持寺の僧侶は勿論、法縁の寺々などから数十名の僧侶が臨席していた。
 本尊仏を前にして行われた、読経や問答などがひと通り終わった後、本堂前の庭園に設えられた雛壇に上がって、臨席僧侶一同の記念写真を撮る段になった。すると、それまでご本尊の前で大人しく額づいたり、読経したりしていた僧侶たちが我先にと争うようにして履物置場へ急ぐ。檀家の子弟たちが担っていた当日の履物係が、予め各僧侶たちの履物に付けられていた番号札と僧侶たちが衣の袖を探って差し出した半券とを引き比べ合わせ、それぞれの僧侶にその履物を差し出す。
 私は、その一部始終を興味深く観察していたわけではないが、おおよそ、その僧侶たちは、その着衣こそ各自の位階などに応じてそれぞれ異なっていたが、その履物は、この作品中に出て来るように、何の記名も無く目印も無い白一色の草履で、殆んど同一物なのだ。
 私が出席した晋山式に於いては、ミシン目入りの荷札を用いた番号札というウルトラC(この言葉ももはや死語となったか?)と檀家の子弟の履物係によって、尊いお坊さんたちに醜態を曝させないで済んだが、この作品の背景となった法会に於いては、主催者たちがそうした智慧も廻らさなかったのであろう。
 「白き草履に目印のなければと」「この世の庭に」「僧侶等は」「まどふ」。
 本作の背景となった法会は、もしかしたら、生臭坊主たちの日頃からの強欲ぶりに立腹していた人々による陰謀だったのかも知れない。
 インターネットで検索したところに依ると、本作の作者の奥平初子さんは「礫の会」に於いて、主宰補佐をなさって居られる方であるそうだが、その観察眼は鋭く、その言は辛辣である。
 経典に言う、「女人は刀刃を以て人を戮さず、舌鋒を以て戮す」とは、この謂ひなるか?
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

鳥羽省三

Author:鳥羽省三
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。