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今週の『朝日歌壇』から

○松代の山を穿ちし洞窟に閻魔蟋蟀冬を越えいる     (長野県) 沓掛喜久男
 
 第二次大戦中に東京への空襲に備えて、大日本帝国の大本営本部が置かれたのは、確か松代 山中の洞窟であった。未だその記憶を消せないでいる作者は、「あれから六十年余も経つのに、今また、この山のこの洞窟にけったいな奴がいて、私をびっくりさせる! なんだ閻魔蟋蟀か。お前も誰かみたいに、こんな所に立て篭もって生き延びようというのか。しぶとい奴め。気持ち悪いったら、ありゃしない」と呟く。
 一首に、作者の反戦の意志を感じようとするのは、私の深読みか?

○バス停は迫りても意地競うごと「おりますランプ」灯らずにおり   (吹田市) 豊  英二

 この道に疎い私は、ついうっかり、「この歌は、『バス停の迫りてなおも意地張りて<おりますランプ>を灯さずにおり』とでもすれば、もっと良くなるのになぁ、不器用な作者だ」などと思った。
 だが、やはり、これはこのままでいい。何故なら、作者は<おりますランプ>を擬人化し、車中に座席の数より多く居る<おりますランプ>たちが、それぞれ、「灯ってやるもんか。絶対、灯ってやらないぞ。あいつより先に灯りなどしたら、俺様のメンツがまる潰れだからな。乗客なんか糞喰らえだ!」などと意地の張り合いをしているように思っているのだから。
  「灯らず」と「灯さず」では大違い。

○我もまた靴を投げつけたき人のあると思ひて靴ひもを締む     (尾道市) 堀川  弘

  「新婚さんいらっしゃい」という、テレビの人気番組があり、出演する新婚カップルがあまりに熱々 だったり、頼りなかったり、煮え切らなかったりなどすると、司会者の男性が、さもじれったそうにして自分の履いている靴を脱いで投げつける。
 私は、あの番組を思い出しながら、この歌を読んだのだが、それは私の不勉強のせいかしら? 最近、誰か、例えば、あの麻生総理か誰かが、記者会見の最中に、気に食わない質問をした番記者に向かって、自分の履いていた靴を投げつけた、などといった未曾有の出来事があったかしら。
 それはどうか判らないが、最終句の「靴ひもを締む」という肩透かしが絶妙で笑わせる。
 
○恋人と別れし友は私にチョコレートパフェを食べさせたがる     (京都市) 敷田八千代

 作者名は忘れたが、「恋人を持たない我は真夜中にチョコレートパフェをなぜか食いたがる」という歌もある。
 超有名タレントを弟に持ち、テレビのお笑い番組に自らも出演していて御馴染みの某大学教授が、行政当局から営業停止処分を喰らって、一時期、業績不振に喘いでいた某製菓会社から膨大な研究資金を引き出して、「チョコレートパフェと恋愛の因果関係」の研究をしていたが、その成果が今期中に発表される予定で、そうなれば、未だ百円以下に低迷しているスポンサー企業の株価が、一躍、百倍以上に急上昇する、という噂があるが、それは本当かしら。
 
○乳房のみ肌異なるらし暗闇に白く光りて鏡に映る          (東京都) 清原 翁丸
 
 本当かしら? それにしても、この歌の作者が男性名なのも不思議。枕草子に、「翁丸」という可愛そうな犬が登場する。

○白馬の遭難死者名刻す碑に猶幾許かの空白残す           (天理市) 乾  喜宏
 
  「その空白は、なん人分の空白かしら?」「その空白を埋めるのは、誰かしら? もしかして、この私かも?」などと、読者にさまざまな疑問や不安を抱かせるように、冷淡かつ簡潔に詠んだのは、朝日歌壇常連の作者の超絶技巧というものであろうか。
 その「空白」は、山開きの頃ともなれば、山肌の残雪を映し、上空の雲を映すから、いくら命と引き換えでも、登山は止められない。
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